男性型脱毛症は予防できるのか?

男性型脱毛症は予防できるのか?

薄毛や抜け毛に悩む男性の多くが直面するのが「男性型脱毛症(AGA)」です。AGAは日本人男性のおよそ3人に1人は経験するといわれるほど、非常に一般的問題です。では、果たして男性型脱毛症は「予防」できるのでしょうか?

AGA(男性型脱毛症)とは

AGA Androgenetic Alopecia(男性型脱毛症)の略で、成人男性に多く見られる脱毛症の一種です。薄毛や抜け毛に悩む男性の多くがこのAGAに該当するといわれています。

AGAは主に男性ホルモンに起因しますが、遺伝や生活習慣なども関係しています。額の生え際や頭頂部から抜け毛が始まり、進行性で少しずつ薄毛が進むのが特徴です。発症した場合、治療を行わなければ薄毛は進行するため、早期に医師の診察を受けることが重要です。

AGAのしくみ

AGAを理解するにはヘアサイクル(毛周期)が重要です。髪の成長は約26かけて1周するサイクルで、以下の3段階で構成されています。

  1. 成長期(26年):髪が活発に育つ
  2. 退行期(23週間):髪の伸びが止まり、毛包が縮小
  3. 休止期(34か月):毛包の活動が停止

髪の11本に独立したサイクルがあり、ヘアサイクルが終了するとその髪は寿命を迎えます。

AGAではこのヘアサイクルが極端に短くなるのが特徴です。

DHTAGAの関係

AGAには、男性ホルモンのテストステロンが体内の5αリダクターゼ(型・型)により変化して生成されるDHT(ジヒドロテストステロン)が深く関わっています。

DHTは体毛やひげには成長を促す作用がありますが、前頭部や頭頂部の毛母細胞では分裂を抑制し、ヘアサイクルの成長期を短縮させます。その結果、髪は十分に育たないまま退行期を迎え、細く短い髪が増えていきます。この現象を軟毛化と呼び、AGAの進行を示すサインとなります。

AGAのセルフチェック

次の項目に1つでも当てはまる場合、AGAの可能性があります。

  • 抜け毛の量が増えた
  • 額が以前より広くなった
  • つむじ周辺の地肌が目立つ
  • 髪のハリやコシがなくなった
  • 髪が細くなり、全体的にボリュームが減った
  • 家族に薄毛の方が多い

AGAは予防はできるのか?

男性型脱毛症は遺伝の影響も大きいため、完全に防ぐことは難しいのが現実です。ただし、早めに対策を取れば進行を遅らせることは十分可能です。

1. 生活習慣の改善

  • バランスの良い食事:タンパク質、ビタミン、亜鉛、鉄分は髪の成長に欠かせません。
  • 質の高い睡眠:成長ホルモンが分泌される夜間の深い眠りが髪の再生を助けます。
  • ストレス管理:ストレスはホルモンバランスを崩し、抜け毛を悪化させることがあります。

2. 頭皮ケア

  • 清潔な頭皮環境を保つことが大切です。
  • 強いシャンプーや過度な洗髪は避け、頭皮をやさしくケアすることが予防につながります。

3. 薬物療法

現在、AGAの予防・進行抑制には以下の薬が使われています:

  • フィナステリド/デュタステリド:内服薬で、DHTの生成を抑え、毛根への悪影響を防ぐ。但し、継続使用が必要で、中止すると効果が失われる。
  • ミノキシジル:外用薬で、血流を良くし、発毛を促進する。

これらは医師の診断のもとで使用する必要がありますが、早期から始めるほど効果が期待できます。

4.補助的・先端的治

  • PRP療法自身の血液から抽出した血小板を頭皮に注入し、成長因子で発毛を促す。薬物療法との併用が一般的。
  • メソセラピー頭皮に直接ビタミン、アミノ酸、成長因子、ミノキシジルなどの薬剤を少量注入し、毛根の栄養補給や血流改善する。薬物療法との併用が一般的。
  • 幹細胞療法・再生医療脂肪由来幹細胞などを利用し、毛包の再生や頭皮環境の改善を目指す。研究・臨床が進行中。
  • 低出力レーザー療法レーザーで血流と毛包を刺激。クリニック治療に加え家庭用機器も利用可能。

まとめ

男性型脱毛症は、遺伝やホルモンが深く関わっているため「完全に予防する」ことはできません。しかし、生活習慣の改善や早期の治療によって、進行を大幅に抑えることは可能です。