脱毛症治療に使用される薬

脱毛症治療に使用される薬

脱毛症は多くの人が悩む、生活の質に影響を及ぼす問題です。しかし、現代医学の進歩により、効果的な治療薬や方法が数多く開発されています。本記事では、脱毛症治療に使用される薬剤について詳しくご紹介し、よりよい選択をするために役立つ知識をわかりやすくまとめていきます。

脱毛症とは

脱毛症とは、さまざまな原因で髪の毛が抜ける症状です。脱毛症にはさまざまな種類があり、原因も異なります。主なタイプは以下の通りです。

円形脱毛症:自己免疫の異常により頭髪が急激に抜ける症状で、ストレスとの関係が指摘されています。

びまん性脱毛症:髪全体が薄くなるタイプで、加齢や栄養不足、生活習慣などが原因とされます。

男性型脱毛症(AGA):男性ホルモンの一種であるテストステロンが5αリダクターゼという酵素の働きによってDHT(ジヒドロテストステロン)に変換されることで、毛母細胞が萎縮し、髪の成長が妨げられる症状です。主に生え際や頭頂部から薄毛が進行し、個人差はありますが徐々に進む傾向があります。DHTの産生を抑える薬や、育毛を促進する薬との併用が一般的な治療法です。

自分の症状がどのタイプに当てはまるのかを把握することで、治療薬の選び方や対策が取りやすくなります。

治療薬の種類

脱毛症治療薬は大きく内服薬と外用薬に分けられます。

内服薬

内服薬は、体内からホルモンバランスを整える役割を担う場合が多いです。 男性型脱毛症(AGA)の場合、5αリダクターゼという酵素の働きを抑制してDHTの産生を抑える薬が代表的な治療薬として活用されています。これにより毛母細胞がダメージを受けにくくなり、髪の成長サイクルが改善しやすくなります。このように内服薬はホルモンバランスに働きかけるため、高い改善効果が期待できる一方で、副作用が現れる可能性もあります。内服薬はフィナステリドやデュタステリドといった薬剤が代表的で、男性のみに使われますが、髪の成長を取り戻すうえで有力な選択肢です。

フィナステリド(Finasteride)

フィナステリドは、主に5 αリダクターゼのうちII型を抑制する作用を持ち、体内でテストステロンがDHTに変換される割合を下げる働きがあります。これによってDHTによる毛母細胞への悪影響を弱め、髪の成長サイクルを正常化しやすくなります。 一般的には服用を開始してから36か月程度で変化を感じやすいですが、個人差があるので焦らずに継続することが大切です。

デュタステリド(Dutasteride)

 デュタステリドは、5αリダクターゼのI型とII型の両方を抑制するのが特徴です。フィナステリドよりも幅広く作用することで、DHTの産生をさらに抑えられる可能性があります。 そのため、フィナステリドで十分な効果を得られなかった方や、より強いアプローチを希望する方に用いられます。

内服薬の副作用

内服薬は、性ホルモンのバランスを変化させる関係で、勃起機能や性欲の低下などの副作用が起こる可能性があり、デュタステリドの場合はこれほか乳房腫れを起こす可能性があります。また、肝臓で代謝されるため、肝機能に負担がかかりやすいという報告もあります。 症状が軽度なら徐々に緩和することもありますが、持続する場合は医師に相談することをおすすめします。

外用薬

外用薬は、頭皮に直接作用させて育毛を促す方法です。発毛や育毛を手助けするために、毛包周辺の血行を促進したり、毛母細胞を活性化したりする成分を配合するものが多いです。代表的な成分のひとつとしてミノキシジルが挙げられ、頭皮に直接塗布することで、血流を増やし毛髪の成長を促しやすくします。 主成分や作用の仕組みが内服薬とは異なるため、内服薬と併用することで相乗効果を狙うことも可能です。

ミノキシジル(Minoxidil

外用薬として広く知られているミノキシジルは、男女両方に使われ、頭皮に塗布すると毛細血管が拡張し、毛母細胞へ栄養が届きやすくなるため、発毛を促すと考えられています。 副作用として頭皮のかゆみや赤みが生じる場合もあるので、使用量や頻度を守って塗布することが大切です。                                      

ミノキシジル以外の塗布薬

外用薬にはミノキシジルのほかアデノシンやキャピキシルなど、血行促進や毛母細胞活性化を目的とした成分を配合した外用薬も市販されています。ただし、科学的なエビデンスの蓄積が十分でないものも存在するので、信頼性を見極めることが大切です。

外用薬の副作用

外用薬は頭皮に直接作用するため、かゆみや発疹、頭皮の炎症などが起こりやすいです。ミノキシジルの使用初期には「初期脱毛」と呼ばれる一時的な抜け毛の増加が見られることがありますが、これは毛髪の生え変わりに伴う一過性の反応とされています。 

脱毛症治療に使用される薬は、現代医学が提供する効果的な解決策のひとつです。ミノキシジル、フィナステリド、デュタステリドといった薬は、脱毛の進行を抑え、発毛を促す点で効果が実証されています。植毛手術とこれらの薬の併用はより良い結果を得る可能性を高めることができます。しかし、いずれの薬を使用する際も、必ず医師に相談し、用法・用量を守ることが大切です。